省エネ診断で工場の課題を見える化する方法

目次

工場の電気代や燃料費が上がる中、「無料で省エネ診断を受けられないか」と考える担当者も多いのではないでしょうか。省エネ診断を活用すると、工場のエネルギー使用状況や改善余地を外部の視点で確認できます。

本記事では、工場向けの省エネ診断の概要、無料・低負担で利用できる支援制度、診断の流れ、診断後の優先対策の考え方を解説しています。

工場の省エネ診断とは?

工場のエネルギー使用状況を確認し、無駄のある設備や改善余地を整理する取り組みです。国や自治体の診断事業に登録された診断機関、省エネお助け隊、民間の省エネ支援会社などが、工場のエネルギー使用状況や設備の運用状況を確認します。

診断結果は、運用改善や設備更新、補助金申請の検討材料として活用可能です。

工場の省エネ無料診断を探す際の注意点

「工場 省エネ診断 無料」で検索すると、無料で受けられる省エネ診断を紹介する記事が複数見つかります。しかし、掲載情報が古く、現在は受付を終了している制度や、対象条件が変更されている制度も少なくありません。

例えば、環境省の「CO2削減ポテンシャル診断推進事業」は、補助金を活用して省エネ診断を実質無料で受けられる制度として知られていましたが、現在は終了しています。

また、以前は省エネルギーセンターも無料の省エネ診断を実施していましたが、2026年6月現在は自己負担額が設定されていました。そのため、「無料」と記載された情報を見つけても、申し込み前に最新の受付状況や費用を確認することが重要です。

省エネ無料診断の工場支援制度は減っている?

経済産業省資料によると、2008年度の省エネ無料診断の国内クレジット制度支援件数は967件でした。当時省エネ無料診断の支援件数が多かったのは、排出削減事業を発掘する入口支援として活用されていたためだと予測されます。

ただし、国内クレジット制度は2013年度に事業を終了。J-クレジット制度へ移行してからは、プロジェクト登録やモニタリング報告の書類作成支援、審査費用支援などが中心となっており、省エネ無料診断に関する情報は見つかりませんでした。省エネ診断そのものを無料で実施する制度は減少傾向にあると考えられます。

参照元:J-クレジット制度公式HP【PDF】(https://japancredit.go.jp/jcdm/committee/data/20090529/haihu/20090529-05.pdf

2026年度に申請できる工場向けの省エネ無料診断支援制度

2026年6月現在も工場向けの省エネ無料診断は存在します。ただし、全国共通の制度として提供されているケースは少なく、都道府県や市区町村が独自に実施しているケースが一般的です。

「地域名 工場 省エネ無料診断」で調べると、自社工場が対象となる支援制度を見つけやすいでしょう。参考までに、地域ごとに実施している工場・事業所向けの省エネ無料診断の一例を掲載しています。

東京都

東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)の公式HPでは、「省エネルギー診断はすべて無料」と案内されています。

対象は、都内で事業活動を行う中小規模事業所です。エネルギー使用量や事業規模などによって利用できる診断メニューが異なるため、申し込み前に対象条件を確認しましょう。

参照元:クール・ネット東京|2026年6月16日時点(https://www.tokyo-co2down.jp/action/business/diagnosis-office/
参照元:クール・ネット東京|2026年6月16日時点(https://www.tokyo-co2down.jp/action/business/diagnosis-office/target/

大阪府

おおさかスマートエネルギーセンターと地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(おおさか環農水研)が連携し、省エネ無料診断を推進しています。

対象となるのは、年間の原油換算エネルギー使用量が30kL以上1,500kL未満に該当する大阪府内の事業所(1事業所まで)。用途や設置されている設備が異なる場合のみ、複数事業所も診断を受けられるケースがあります。おおさか環農水研の省エネ無料診断を過去に受診したことのある事業所は申請対象外です。

申請期限は公開されていませんが、「2026年度受付開始」の案内が掲載されています。

参照元:大阪府公式HP|2026年6月16日時点(https://www.pref.osaka.lg.jp/o120020/eneseisaku/sec/shindan.html

福岡県

福岡市では、事業所を対象とした省エネ支援事業として「省エネ最適化診断」を実施しています。専門家による診断を無料で受けられる制度です。

対象は、年間エネルギー使用量が原油換算1,500kL未満の事業所。外部供給分を含めた使用量や入札参加資格など、福岡市が定める条件を満たす必要があります。

申込受付期間は2026年5月7日から2027年1月29日まで(郵送の場合は必着)。エネルギー使用状況の分析や改善提案を受けられるため、省エネ対策の優先順位を整理したい事業者に向いています。

参照元:福岡市公式HP|2026年6月16日時点(https://www.city.fukuoka.lg.jp/kankyo/j-suishin/hp/shoeneshindan_reiwa6.html

工場の省エネ診断の自己負担額を抑える方法

自治体の無料診断を利用できない場合でも、国の支援制度を活用すれば費用負担を抑えて省エネ診断を受けられる可能性があります。完全無料ではありませんが、通常より低い自己負担で利用できる制度です。

エネルギー利用最適化診断等事業

国が診断費用を補助する制度です。中小企業や年間エネルギー使用量が原油換算で1,500kL未満の事業者等を対象に、省エネルギーセンターが工場・ビル等の診断を実施しています。

省エネルギーセンターの公式HPによると、クイック診断9,460円、ベイシックA診断12,760円、ベイシックB診断20,240円、大規模診断30,470円です(すべて税込)。無料ではありませんが、比較的低い負担で専門家の診断を受けられます。

参照元:経済産業省・資源エネルギー庁公式HP(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/
参照元:省エネルギーセンター公式HP|2026年6月16日時点(https://www.shindan-net.jp/service/shindan

地域エネルギー利用最適化・省エネルギー診断拡充事業

一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が実施する「省エネ診断・伴走支援」です。ウォークスルー診断、IT診断、伴走支援などのメニューが用意されています。

ウォークスルー診断は設備単位で6,006円、工場・事業所全体で16,016~51,051円です。IT診断は最大220,000円、伴走支援は最大51,051円の自己負担が必要です(すべて税込)。

設備更新を検討している場合や、診断後も継続的な支援を受けたい場合に活用しやすいでしょう。

参照元:経済産業省・資源エネルギー庁公式HP(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/
参照元:一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)公式HP(https://shoeneshindan.jp/guide/

工場の省エネ診断では何を見てもらえるのか

省エネ診断の確認内容は、診断機関や診断メニューによって変わります。無料診断や低額診断では、現場確認を通じて改善余地を整理するケースが中心です。

有料診断では、計測データの分析や設備更新の具体的な検討まで対応する場合もあります。申し込み前には、診断範囲、報告書の内容、診断後の相談可否を確認しておきましょう。

ここでは参考として、経済産業省が案内している主な診断メニューを解説します。

ウォークスルー診断

診断担当者が工場内を確認しながら、設備の管理状況や無駄な運転を見つける診断です。空調、照明、コンプレッサー、ボイラー、ポンプ、ファンなどの運用状況を確認し、低コストで始められる改善策を整理します。光熱費を下げたいものの、何から手を付ければよいか分からない工場の初期診断に向いているでしょう。

IT診断

計測機器で取得したデータを活用し、設備や工程ごとのエネルギー使用状況を分析する診断です。現場確認だけでは分かりにくい稼働状況や負荷の変動を、数値で把握できる点が特徴。設備更新や運用条件の見直しを、データに基づいて判断したい場合に向いています。

省エネ最適化診断

使用エネルギーの削減に加え、再エネ提案も含めて脱炭素化に向けた助言を受けられる診断です。エネルギーの専門家が工場や事業所を確認し、省エネの取り組みや脱炭素化に向けた改善策を提案します。省エネだけでなく、将来的な脱炭素対応も含めて検討したい事業者向きの制度です。

参照元:経済産業省関東経済産業局公式HP(https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sho_energy/shoeneshindan.html

工場の省エネ診断の前に準備しておきたい情報

診断前にエネルギー使用量や主要設備の情報を整理しておくと、当日の確認がスムーズに進みます。無料診断や低額診断では診断時間が限られることもあるため、事前資料の準備が重要です。

エネルギー使用量の資料

電気、ガス、重油、灯油、蒸気などの使用量が分かる資料を準備します。月別の電気料金明細や燃料購入量があると、季節変動や生産量との関係を確認しやすいでしょう。

主要設備のリスト

空調、コンプレッサー、ボイラー、照明、冷凍冷蔵設備、生産設備など、エネルギー使用量が大きい設備の情報を整理します。型式、年式、能力、台数、稼働時間が分かると、改善候補を検討しやすくなる点が利点です。

現場で困っていること

電気代が高い、コンプレッサーが止められない、空調が効きにくい、蒸気漏れがあるなど、現場で気になっていることも診断時に共有しましょう。数値だけでなく現場の違和感を伝えることで、実行しやすい改善策につながります。

工場の省エネ診断当日の流れ

診断当日は、事前ヒアリング、資料確認、現場確認、改善内容の整理という流れで進むのが一般的です。診断メニューによって所要時間や確認範囲は異なります。当日の動きを事前に把握しておくと、立ち会う担当者や確認資料を準備しやすいでしょう。

ヒアリング

事業内容、稼働時間、生産量、エネルギー使用量、設備の更新予定、現場で困っている点などを確認されます。現場に合った提案を受けるためには、省エネだけでなく、保全や操業上の課題も共有しておくことが大切です。

現場確認

空調、照明、コンプレッサー、ボイラー、ポンプ、ファンなど、エネルギー使用量が大きい設備を中心に確認されます。停止できない設備や立入制限がある場所は、事前に伝えておくことが欠かせません。

報告書受領

診断後は、改善提案や概算削減効果をまとめた報告書を受け取ります。報告書は、すぐに始められる運用改善、設備更新候補、補助金検討、社内説明の材料として活用できるでしょう。

工場の省エネ診断後は対策優先度をどう決める?

診断結果を受け取っても、すべての対策を同時に進める必要はありません。ここでは、省エネ対策の優先順位の決め方を解説します。

まずは運用改善から始める

設定温度の見直し、不要照明の消灯、エア漏れ修繕、待機運転の削減など、低コストで始められる対策を優先します。現場負担が小さい改善から始めると、日常業務に組み込みやすいでしょう。

設備更新は削減効果と故障リスクで見る

設備更新は、削減効果だけでなく、老朽化や故障リスクも合わせて判断します。稼働時間が長く、電力使用量が大きく、保全負荷も高い設備は、優先的に検討しやすい候補です。

補助金や投資回収の検討につなげる

診断結果で更新候補が見えたら、補助金が使えるか、何年で投資額を回収できるかを確認します。費用対効果を整理しておくと、設備更新の可否を判断しやすくなるでしょう。

工場省エネ対策の第一歩として省エネ診断を活用しよう

工場の省エネ診断は、エネルギー使用状況や改善余地を整理し、次に取り組む対策を判断する入口です。無料診断や低額で受けられる診断を活用すれば、費用負担を抑えながら省エネ対策の方向性を確認できます。

まずは自社の地域で利用できる無料診断や、国の低額診断制度を確認しましょう。工場の省エネ診断を検討している方は、下記の診断申し込みフォームをご活用ください。

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