ピークカット

目次

工場の電気代は、使った電力量だけでなく、最大需要電力にも左右されます。実量制の高圧契約などでは、30分ごとの平均使用電力の最大値が契約電力に影響し、基本料金を押し上げる要因です。

本記事では、デマンド監視・制御を活用したピークカットの考え方と、対応業者の選び方を解説します。

基本料金とピーク電力

工場の電気代では、一定期間の最大需要電力が契約電力に影響し、基本料金の基準になる場合があります。東京電力エナジーパートナーは、契約電力を「当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうち、最も大きい値」と説明しています。

参照元:東京電力エナジーパートナー公式HP(https://www.tepco.co.jp/ep/corporate/charge_c2/decision03.html)

最大需要電力

最大需要電力とは、30分ごとの平均使用電力のうち、月間で最も大きい値です。短時間だけ設備が集中稼働しても、30分平均が高ければ契約電力に影響しかねません。

基本料金への影響

高圧・特別高圧の契約では、30分平均のデマンド値として大きなピークが記録されると、その後の基本料金に影響する可能性があります。使用量の合計だけでなく、いつ電力が集中したかを合わせて見るのが重要です。

省エネとの違い

省エネは使用電力量を減らす対策で、ピークカットは最大需要電力を下げる対策です。電力量料金を下げたいのか、基本料金を見直したいのかで、見るべき指標が変わります。

ピークの原因となる設備

工場における電力のピークは、複数設備が同じ時間帯に重なることで発生します。特に空調やコンプレッサー、冷凍機、炉、乾燥機、大型モーターなどの機器の一斉稼働は、最大需要電力を大きく押し上げる要因です。

設備ピークが出やすい場面対策の方向性
空調始業直後、猛暑日、昼休み後起動順制御、設定温度調整、台数制御
コンプレッサー複数台同時稼働、エア漏れ台数制御、エア漏れ点検
冷凍機・冷蔵設備外気温上昇、負荷集中運転時間調整、蓄冷、制御改善
炉・乾燥機加熱立ち上げ時起動時間分散、運転計画見直し
大型モーター一斉起動時起動タイミング分散、インバータ化
生産ライン複数ライン同時立ち上げ稼働順の見直し

空調と冷凍機

夏場は外気温の上昇により、空調や冷凍機の負荷が大きくなりやすい時期です。始業直後や昼休み後の一斉起動を避け、起動順や稼働台数を見直す必要があります。

コンプレッサー

コンプレッサーは、圧縮空気の使用量だけでなく、エア漏れや無負荷運転によっても電力を消費します。エア漏れは外から見えにくいため、定期的な点検が重要です。

生産設備

炉・乾燥機・大型モーターなどの生産設備は停止すると品質や納期に影響する場合もあるため注意が必要です。ピークカットでは、止めるより起動タイミングをずらすピークシフトが候補になります。

主な対策の違い

ピークカットは最大需要電力を下げる対策、ピークシフトは電力使用を別の時間帯へ移す対策、デマンド監視はピークが出そうなタイミングを把握する仕組み、デマンド制御はピークのタイミングを自動制御する方法です。目的を混同せず、自社の設備条件に合う方法を選びましょう。

対策目的工場での例
ピークカット最大需要電力を下げる空調や補助設備を一時制御する
ピークシフト使用時間をずらす炉や冷凍機の稼働を前後にずらす
デマンド監視ピークを予測・警報する目標値超過前にアラートを出す
デマンド制御自動で負荷を抑える空調や蓄電池を自動制御する
参照元:中部電気保安協会公式HP(https://www.cdh.or.jp/service/hoan/kanri/kanri6.html)

ピークカット

ピークカットは、最大需要電力を抑え、契約電力の上昇を防ぐための対策です。使用電力量を大きく減らせなくても、ピーク低下により基本料金の見直しにつながる可能性があります。

ピークシフト

ピークシフトは、電力使用を集中時間帯から別の時間帯へ移す対策です。加熱設備、冷凍機、蓄電池などは、運転時間や充放電時間の調整によりピークを避けられる場合があります。

デマンド監視

デマンド監視は、現在の使用電力を把握し、設定値を超えそうなときに警報を出す仕組みです。警報だけでは削減できないため、誰が何を止めるかの決定が欠かせません。

デマンド制御

デマンド制御は、設定した目標値を超えそうなときに、空調や補助設備などの負荷を自動で調整する方法です。警報だけに頼る運用より現場負担を抑えやすい一方で、制御対象の選定や品質への慎重な影響確認が求められます。

ピークカットの方法

ピークカットには、設備を止める以外にも複数の方法があります。デマンド監視、空調制御、コンプレッサー制御、蓄電池、太陽光、自家発電設備、稼働スケジュールの見直しを組み合わせるのが、現場への影響を抑えやすい構成です。

警報による手動対応

デマンド監視装置は、目標値を超えそうなときに警報を出し、担当者が設備運用を見直すきっかけをつくります。中部電気保安協会も、デマンド値の抑制には使用状況の管理が有効という説明です。

参照元:中部電気保安協会公式HP(https://www.cdh.or.jp/service/hoan/kanri/kanri6.html)

空調や補助設備の制御

空調や補助設備は、短時間なら制御しやすい場合があります。目標値に近づいたときに空調の出力や台数を自動調整すれば、現場の手動対応を減らしやすいでしょう。

蓄電池や自家発電

蓄電池がある工場では、ピーク時間帯に放電して買電量を抑える方法も候補の一つです。デマンドレスポンス(DR)と呼ばれる方法では、蓄電池や空調設備を自動制御して需要削減に使うことがあります。

導入判断の分かれ目

ピークカットは、契約電力が大きく、ピークの原因が特定しやすい工場ほど検討しやすい対策です。一方で、品質や安全に関わる設備を無理に止めると逆効果になるため、調整できる設備と止めてはいけない設備を分けます。

区分工場の特徴
導入しやすい工場契約電力が大きい、ピーク時間帯が偏っている
導入しやすい工場空調や補助設備の負荷が大きい
導入しやすい工場デマンド値や30分値データを確認できる
慎重に判断すべき工場温湿度や圧力が品質に直結する
慎重に判断すべき工場炉・乾燥機・冷凍設備を止めにくい
慎重に判断すべき工場現場で制御対象を決められていない

ピーク要因の把握

夏の空調、始業時の一斉起動、コンプレッサーの同時稼働など、ピーク要因が見えている工場は対策を立てやすい状態です。まず30分値データで時間帯を確認します。

止めない設備の整理

冷凍、冷蔵、炉、乾燥、クリーンルーム、換気設備などは、電力調整が品質や安全に影響する場合がある設備です。ピークカットの対象外とする設備を事前に決めると導入可否を判断しやすくなります。

自動制御の必要性

警報が出るたびに担当者が設備を手動で止める運用は、負担が大きくなりがちです。継続的に効果を出すには、自動制御や事前ルール化まで検討する必要があります。

費用対効果の見方

ピークカットの費用対効果は、基本料金単価、削減できる契約電力、導入費用、運用費で決まります。使用電力量の削減とは別に、最大需要電力がどれだけ下がるかを試算し、基本料金削減額の確認が必要です。

契約電力の低下

ピークカットでは、月間使用電力量よりも最大需要電力の低下を見ます。契約電力を何kW下げられるか、その結果として年間の基本料金がどれだけ変わるかの試算が必要です。

導入費用の範囲

デマンド監視だけなら小さく始めやすい一方で、自動制御、蓄電池、EMS連携まで含めると費用は大きくなります。見える化だけか、制御まで行うかで見積もりを分けるのが基本です。

投資回収年数

年間の基本料金削減額と導入費用を比べ、何年で回収できるかを確認します。使用電力量削減や補助金を含める場合は、前提条件を分けて試算すると判断しやすくなるでしょう。

相談前チェックリスト

対応業者に相談する前に、電気代、契約電力、最大デマンド、30分値データ、主要設備、止められない設備などを整理しておきます。事前情報があると、削減余地、導入方式、費用対効果など、実践的な話を効率的に進めることが可能です。

確認項目確認する内容
電気料金明細直近12か月分を用意する
契約電力現在の基本料金の基準を確認する
最大デマンドいつ、何kWのピークが出たか確認する
30分値データピーク時間帯と設備稼働を照合する
主要設備空調、冷凍機、コンプレッサーなどを整理する
制御できる設備一時的に出力や稼働を調整できる設備を確認する
制御してはいけない設備品質・安全・納期に影響する設備を分ける
現場担当者警報時や制御時の判断者を決める

データと稼働の照合

30分値データだけでは、ピークの原因設備までは分かりません。ピークが出た時間帯に、空調、炉、コンプレッサー、生産ラインがどう動いていたかを照合します。

制御対象の決定

ピークカットでは、何を止めるかより、何を止めてはいけないかの整理が重要です。品質、安全、納期に影響する設備は対象外にし、補助設備から候補を探します。

手動と自動制御

デマンド警報を見て手動対応するのか、空調や蓄電池を自動制御するのかで導入費用と現場負担が変わる項目です。継続運用できる方式を選びましょう。

業者選びの際に見るべきポイント

ここではピークカットの支援に対応している企業を選ぶ際に見るべきポイントをまとめています。

監視と制御の範囲

業者が対応しているのがデマンド監視だけか、自動制御まで対応できるかを整理します。警報、メール通知、遠隔監視、空調制御、蓄電池制御などが比較対象です。

工場設備への対応実績

空調、冷凍機、コンプレッサー、排気ファン、蓄電池、受配電設備など、どの設備と連携できるかを確認します。既存設備との相性や工事範囲も比較ポイントです。

試算と運用支援

契約電力を何kW下げられるか、年間基本料金がいくら変わるかを試算できる企業を選びます。導入後の運用レポートや改善提案まで支援できるかも確認します。

あなたの工場にフィットする
省エネ対策が、
必ず見つかる。
省エネ対策に特化した
パートナー選びを
Zenkenに相談する

業界に特化した「専門性の高いメディア」を延べ8,000サイト制作・運営(2023年6月時点)してきた実績をもとに、工場の省エネ対策に優れたパートナー企業をZenkenがご紹介します。