工場の電気代削減は順番が9割
工場の電気代削減は、設備更新や契約見直しの前に、請求書や使用実績から原因を見極めることが重要です。本記事では、無駄な投資を避けながら、工場の電気代削減を進める順番を解説します。
電気代削減でよくある失敗
補助金や営業提案から始めてしまう
電気代削減では、補助金や営業提案をきっかけに設備更新や太陽光発電を検討するケースが見られます。施策自体に問題があるわけではありませんが、自社の課題を把握しないまま進めると、投資判断の根拠が曖昧です。
原因が分からないまま設備投資をしても、削減額や回収期間を社内に説明するのは難しいでしょう。対策前に電気代が高くなっている背景を分けておけば、稟議や予算化の根拠を示しやすくなります。
現場任せで終わってしまう
不要な電気を消す、空調温度を調整するといった運用努力だけに頼ると、取り組みが属人化し、品質や安全への影響も見えにくくなります。省エネ対策は現場任せではなく、工場全体のコスト管理として設計するものです。
部門ごとの事情を踏まえながら、作業品質や安全を落とさずに削減できる範囲を決める視点が欠かせません。費用対効果や生産への影響を見ながら、どこまで取り組むかを判断しましょう。
順番1 請求書と使用実績を確認する
請求書の内訳を見る
最初に見るべきは、電気代の請求書です。請求書には、以下のような項目が並んでいます。
- 基本料金
- 契約電力
- 最大需要電力
- 使用電力量
- 燃料費調整額
- 市場価格調整単価
- 再エネ賦課金
総額だけを見ても、使用量が増えたのか、ピークが高いのか、調整単価の影響なのかは分かりません。原因が違えば、打つべき手も変わります。請求書の内訳を押さえることが、設備投資や契約見直しを検討する前提です。
使用実績の推移を見る
次に、前年同月比や月別推移、時間帯別使用量を確認します。生産量や稼働日数が増えた月は、電気代も増加するため、単純に今年は高いと捉えるだけでは判断を誤りかねません。
見るべきなのは、生産量あたりの電気代や負荷が集中する時間帯です。昼間ピーク、夜間の待機電力、空調の季節影響を分けて把握すれば、優先すべき対策を判断できるでしょう。
順番2 お金をかけずに運用改善する
無駄な使用を減らす
設備投資の前に、今ある設備の動かし方で減らせる電力を確認します。空調設定、コンプレッサーの圧力、照明、待機電力、稼働時間など、コストをかける前に直せる点がないかを探してみましょう。
特にコンプレッサーは、工場の電気代に影響が出やすい設備です。圧力設定が高すぎたり、エア漏れが放置されていたり、使っていない時間も動いていたりすると、余計な電力を使います。点検結果は、運用で直すか設備更新に進むかを決める材料です。
現場負担を増やしすぎない
運用改善は、現場の負担が大きいと続きません。暑い場所で空調を抑えすぎれば、体調不良や離職リスクにつながります。照明を落としすぎれば、安全や品質に影響が出る場合もあるでしょう。
決めるべきなのは、無理な我慢ではなく、続けられるルールです。快適性や安全性、生産性を落とさずに無駄を減らせる範囲を決めておけば、電気代削減を一時的な掛け声で終わらせずに済むでしょう。
順番3 デマンドピークを下げる
最大需要電力を確認する
高圧契約では、最大需要電力が契約電力や基本料金に影響します。実量制の場合、一度大きなピークが出ると、その後の契約電力に一定期間影響が残ることがあるでしょう。
請求書やデマンドデータをもとに、ピークが出る時間帯と理由を確認しておくことが大切です。朝の立ち上げ時や昼休み明け、空調と生産設備が同時に動く場面など、負荷が重なる時間を見れば、対策も取りやすくなります。
ピークカットの手段を選ぶ
ピークカットでは、設備の起動時間をずらす、空調を制御する、デマンド監視を入れるといった方法を使います。蓄電池やEMSも候補に入りますが、まずは運用で調整できる範囲を確認し、投資するかどうかを検討しましょう。
ピーク対策は、現場の協力だけでは続きません。生産や安全に支障が出ないように、工場全体の稼働計画に組み込んでおくのがポイントです。
順番4 効果が見えやすい設備から更新する
候補設備を洗い出す
運用改善とピーク対策を確認したら、設備更新を検討します。LEDや空調、コンプレッサー、冷凍機、EMSなどは候補になりますが、古いものから順に替えればよいわけではありません。
老朽化の程度や稼働時間、消費電力量、故障頻度、メンテナンス費を見て優先順位を決めます。稼働時間が長く、社内に効果を説明しやすい設備から進めると、投資判断の理由を示せるでしょう。
省エネ以外の効果も見る
設備更新を判断するときは、電気代だけでなく、故障リスクや作業環境への影響もあわせて見ましょう。古い空調を替えれば暑さ対策になり、LED化は手元の見やすさや安全確認にも関係します。
ただし、人材定着や取引先評価まで設備更新だけで変わるとは言い切れません。社内説明では、電気代削減で見込める効果と、それ以外に期待できる効果を分けて伝えることが大切です。
順番5 契約見直し・太陽光・PPAを検討する
使用量とピークを把握してから検討する
契約見直しや太陽光発電、PPAは、使用量とピークを把握した後に検討します。現状を把握せずに契約を変えると、削減理由を判断できないためです。
市場連動型プランを選ぶ場合は、価格が変わるリスクを確認します。固定型契約でも、更新時に単価が見直されるケースには注意が必要です。工場の稼働パターンに合う契約かどうかを、過去データで試算しておきましょう。
手法ごとのメリット・デメリットを比較する
契約見直しでは、単価だけでなく価格が変わるリスクも確認します。安く見える契約でも、工場の稼働時間や使用量に合わなければ、思ったほど削減につながらない場合があるためです。
太陽光発電やPPAでは、初期費用、屋根の条件、自家消費率、契約期間を見ます。昼間の電力使用が多い工場では効果を見込める一方、途中解約条件やメンテナンス範囲まで確認しておくことが大切です。
アンケートでは41.0%が省エネ対策で停滞を経験
工場の省エネ対策では、必要性を感じていても、思うように進まないケースがあります。自社調査では、省エネ対策を「進めたいと思っていたが、思うように進まなかった」経験がある人は41.0%でした。
進まなかった理由としては、「予算が確保できなかった」が48.0%と最も多く、「工事の規模が大きくなりそうで踏み切れなかった」が26.0%、「社内で承認が下りなかった」と「費用対効果のシミュレーションができなかった」がそれぞれ23.6%という結果です。
この結果からも、設備更新や太陽光発電のような投資施策に進む前に、削減額や回収期間を説明できる材料をそろえることが重要だと分かります。
※調査時期・調査対象数・調査方法・調査エリアは東京担当者にて後日記載※電気代削減は工場の未来を守る経営戦略として進めよう
工場の電気代削減は、順番を間違えると効果が思ったように発揮されません。請求書や使用実績で原因をつかみ、運用改善とデマンド対策で無駄を減らしてから設備更新や契約見直しに進めば、投資の理由を社内に説明できます。
順番を決めて進めることで、電気代を下げるだけでなく、予算の使い方や次に取り組むべき対策も判断しやすくなるでしょう。何から始めればよいか迷う場合は、当メディアで設備別・課題別の対策をぜひご確認ください。
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